2011.10


構 想

実験用の電源をよく飛ばすってぼやいたら,師匠から,電流可変式のアダプタを作ったらどうかとすぐに図面を描いてくれた。
電流制限については,検出抵抗を使ったTr2を2つくらいの定電流回路を可変に変えればとお気楽に考えていたが,
かなり本格的な図面だったので,さっそくトライしてみた。

入力はDC20V,出力の他に,オートレンジのマルチテスター用の端子を出して,スライドスイッチ(基板図ではトグルSWになってますが・・)で
瞬時に電流測定と電圧測定を切り替えられる。(ただし,電流は,マイナスmV表示。)
最終的な回路図はこれ


電流が多く流れる場合,2SD1000でも不安ですが,実用上はあまり問題ないかと思い,C2500等のパワートランジスタは使用していません。


基板図


作業開始

パーツは,72mm×50mmの小さな基板でも十分乗ります。
  
基板をちょうど手持ちがあったので,110*80*33mmのクリアケースに入れてみました。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-00075/
パーツもみな手持ちで間に合いそうです。なお,電流用のVRは10k/Aしかないので,R7の22kの抵抗を220kに変えました。
また,103の発止防止用コンデンサーもリニアリティーが悪くなるということですので,取り去ります

大体のレイアウトはこんな感じ。

スイッチはスライドスイッチがありました。
とりあえず穴あけ。アクリル系のケースはドリルでよくヒビが入ります。
私は,セロテープを両面に貼ってゆっくり作業するようにしています

途中は省略して,完成。ヤスリを使うときは内側の面を傷めることが多いので,
しっかり養生(紙などを敷き詰める)して・・・


   
エポキシで,基板,電源ソケットやスイッチ類を固める前に
動作テスト。

これは,抵抗を入れて,電圧を確認しているところ。14.2Vまで上がります。

次に白LEDの点灯試験。入力は実験用電源から・・・このアダプタ,電源SWを忘れた。
20mA,OK その時の電圧は


問題点への対策

ほぼ完成でしたが,定電流モードで電圧が下がり1.1V以下になったところで制御できなくなり電流が突然増えてしまう現象があることが分かり,その対策をしていました。
単電源で使用しているためにIC2の出力が1Vまでしか下がらないので出力電圧が下がると制御できなくなるため・・・
Trをダーリントン接続とし抵抗の定数を変えました。念のためにダイオードを4148からショットキーの1SS108に変えてみました。

参考:ダーリントン接続へ

1kΩの抵抗で試験
電圧は14.25Vまで上がります。

その時の電流値
16.3mA。(テスタがオートレンジの電圧に設定してあり,また表示回路の都合上マイナス表示になりますが,スイッチ1つで瞬時に切り替えられて,結構便利です) 
なお,計算上は14.25/1000=14.25mAですが,誤差ということで・・・
白のLEDでは,

20mAを流します

その時の電圧が3.2V。
これ,このLEDのVfなんですよね。これは便利。

C1815のダーリントンから,Q1を2SD1000へ

2つ問題が分かりました。
1つは,1kΩに14.25Vをかけたときに電流が16.3mA示すといった誤差の大きさ。
昨日はこれは「誤差ということで・・・」と放っておいたのですが,師匠から,おしかりいただいて直すことに。実際1Ωの抵抗を測ったら1.1Ωを示しました。これで10%以上も狂います。これの修正!。

もう一つ,トランジスタはHfeだけ見て200程度とれればいいかということで,これをダーリントン接続したのですが,コレクタ損失(Pc)が400mWしかなく,仮に入力15V,出力3Vで上限の100mAを流したらQ2のコレクタ損失は1200mWになり、Q2は楽に飛んでしまうということ。
せっかく作ったんだから直しました。


1.1Ωに並列8Ω(4.7+3.3)

Q2のC1815を取り外して,D1000を移植
まず抵抗ですが,1Ωに並列に8Ωを入れます。
計算は,師匠のコメントから
【16.3mV/14.25mA=1.144Ω
1Ωの抵抗は実際は1.144Ωある。
並列に抵抗を入れて1Ωにするには
1.144*1/(1.144-1)=7.951
7.951Ωを入れれば1Ωになります。】
ということで,8.2Ω程度を入れると良いと教えていただいたのですが,8.2Ωなんて持ってません。ガサゴソパーツボックスを探したら,ほんの数本4.7Ωと3.3Ωが出てきました。直列すれば8Ω。テスターでちゃんと測ったら表示どおり4.7,3.3の値を示します。ラッキーでした。
トランジスタは,TO-220タイプのでかいTrもダーリントンタイプもあったのですが,ここはチップのパワートランジスタ2SD1000を使いました。大電流を流したときの発熱対策として,太めのスズメッキ線をコレクタに付け基板から浮かせるようにしました。実際にはここまでは必要ないとは思いますが,,,

テスト・・・・1kΩを取り付けて,電圧を最大に.

14.5mA。結構正確に出ます

ついでにLEDでもやってみました

20mA

3.2V=Vf

なお,師匠が作った同様の回路から,
電流を零にすると電圧も零になる。使いにくいので0Vにならないようにという注意がありましたが,デバイス(OPA)のばらつきからか,私のものは,VRを最低に絞っても,4.2mV/1.5mA(テスター端子切り替え)でしたので,当面いじらないことにします。

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